サイバーテロ 漂流少女 感想文。

以下、感想。ネタばれ注意。

良かった点としては、平易な言葉で、この業界の実態やトピックスを説明していること、一部、テレコムアイザック最強とかファンタジーあるけど、あまりにファンタジー過ぎて明らかにネタとわかるので、こういう「もしどら」ライクなセキュリティ業界話は、全体の裾野を広げるアプローチとしてはありだなと。
総合感想としては、「日本のネットワークセキュリティ業界を元ネタにした同人誌」。
この業界にいる人間にとっては、具体的な固有名、もしくは、具体的な事例を架空名、えらい詳細な解説もあれば、架空なんだけど、もっともらしい説明もありと、わかる人にはニヤリとなる非常に内輪受けの内容になっている。そこが同人誌だなと思ったところ。

反対にだめなところは、セキュリティキャンプ生なめすぎ。そりゃあね。若いから厨二病発症しちゃってる子も来るけど、えてしてそういう子は初日の夜には天狗の鼻が折れて、上には上がいるとわかっておとなしくなる。また、全体の1割以下だけど、本当に高度なスキルを持った子もいるけど、そういう子はこんな愚かなことしない。ある意味、ちゃんと精神のバランスが取れていたり、大人顔負けの状況判断ができる子がほとんどなので、彼らを○○に仕立て上げるのはどうかと思う。少なくとも、事件を起こすと、その後にどういう顛末になるか、最初に叩き込まれるので、彼らをいまどきの何を考えているかわからない若者扱いは、内情を知らないからこそ書けたのかな。
後、セキュリティ技術者の扱いもひどい。セキュリティ技術者の端くれとして、隠蔽なんかするわけが無い。私が知っているセキュリティ技術者は、リスクの最大と最小を考えてそのときに最善の行動をとるだろうし、そのためには時間との戦いなのもわかっているので、そこは組織の力を最大限に利用して、被害の最小化を図るはずなんだよね。あんなに情に盲目になることは無いと思う。まぁ、子供に寝首をかかれるほど耄碌してないし、ある程度予兆感じたら前もって手を打つよ。だって、家庭内のAdmin権限争奪戦なら絶対に負けないもの。w

小説として、かつ、この業界にいる人間としてネタとしては結構楽しめたけど、セプキャン関係者としてもセキュリティ技術者の端くれとしても微妙。そういう意味で、セキュリティ業界での口コミバイラルが回らないわけで、ネタとしての一発芸としてはありだけど、正じゃなくて負の方のバイラルになっている気がする。もったいないね。

余談だけど、読んでてまったく気がつかなかったんだけど、読み終わった後に、知り合いから「よぉ。黒幕になった気分はどう?」って、言われて、「???」だったんだけど、よく考えたら、黒幕の一人と、おいら、苗字が一字違いだった!!( ゚Д゚) ス、スゲー!

娘持ちのキャンプ関係者で、最後の舞台が、広島の福山の大学*1だし、もしかして、おいらもモデルの一人なのか?まぁ、住んでいる所とか、キャラ設定とか、口調とか人役単価とかまったく違うから、モデルの一部なのかもしれないけど、面白いから、今度のセキュリティもみじで、ネタにでもしよう。w
んじゃあねぇ。

サイバーテロ 漂流少女

サイバーテロ 漂流少女

*2福山なのは島田荘司賞の影響じゃねといわれた。そうかも。

*1:1

*2:1