死角

現在、さまざまなIT企業から情報漏えいが発生しているが、実は製造業の現場から情報漏えい事件が発生していないなという視点からその秘密がわかればと思って手に取った本である。520人もの死者を出した日航機ジャンボ墜落事故をメインに科学の粋を集めたはずのジャンボジェットで事故がおきる死角を記者出身の著者「柳田 邦男 」氏が鋭い視点で抉り出している。
まだ、読み終わったばっかりなので、まだまとめていないが、さまざまな分析手法が紹介されており、結構、応用できるキーワードが散見される。
例えば、リスク分析でも良く使われる1:29:300というハインリッヒの法則、通称、ヒヤリハットの法則のさらに研究が進んだものに、1:10:30:600のバードの法則というのがあるといった情報などが載っている。
今でも視点を変えれば十分に参考書として使えるものなので、買って損はないと思う。ただし、残念ながらすでに絶版、一応、まだ中古市場には残っているようなので、興味がある方は、今のうちに保護されると良いかも。
こういう時代にこそ、この本のように、経験豊富な記者が、渾身の取材を重ねた上で執筆したような情報セキュリティ漏洩事件版のような本が求められているような気がします。

死角―巨大事故の現場 (新潮文庫)

死角―巨大事故の現場 (新潮文庫)

ただ、こういった本より、30分でわかるリスク分析のような、3ヶ月で書けるようなライトな内容の本のほうが売れてしまうのが、今の出版業界の難しいところかもしれません。