一歩先のクラウド戦略

クラウド礼賛の書籍はあまたにあるが、本書は、日本の企業がクラウドに対してどう向き合うかの指針が書いてある良書。
以下、目次。

第I部 戦略編
 第1章 世界でどう戦うか
 第2章 戦うためには何が必要か
     ――オペレーションとIT
第II部 実践編
 第3章 富士通 株式会社
 第4章 日本マイクロソフト 株式会社
 第5章 株式会社 ドリーム・アーツ
 第6章 株式会社 プラスアルファ・コンサルティング
第III部 経営編
 第7章 これからのIT経営

第I部では、日本の現状おかれている強みと弱みの整理。
筆者は日本の強みを「機能的価値」と「情緒的価値」にあるとし、世界がその日本の「情緒的価値」の特にソフトウェア的なサービスの強みをいかに引き出すかまとめている。特に、本書は「現場力を鍛える」で「見える化」の遠藤功氏が監修していることもあり、その方法の一部が第I部第2章で述べられている。
第II部 実践編では、その方法の具体的例として、クラウドベンダーの例として、富士通と日本マイクロシフト株式会社が選ばれ、彼ら自身の言葉で彼らのサービスの特徴が語られている。
また、クラウドを使いこなしている企業の例として「株式会社ドリーム・アーツ」「株式会社プラスアルファ・コンサルティング」という、知る人ぞ知るクラウドを使った「見える化」を実践、サービス化し、その効果を享受できる事例として紹介している。
今回の東日本大震災関連情報では、情報発信でクラウドがさまざまな形で大活躍した。被災した自治体のWebサイトをクラウドで引き受けて、その膨大なトラフィックを無償で裁く事例や、googleマップなどに避難所情報をマッピングしていくマッシュアップでの情報収集、そして、何より、計画停電でDCの停止によるサービス停止など、企業のBCP戦略の再考と、クラウド化へのシフトは加速度的に進むと思われる。
本書はそんな第一歩に最適である。

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